オーバーオール?

猛暑でも食欲が全然おちない 川口自交です。

 

暑い日が続きますが皆様、体調はいかがでしょうか?

川口自交は私をはじめスタッフ全員、夏バテ知らずです (^ ^)>

 

そんななか、乗務員から 『 全然、チカラが出ないんだよ~ 』っと。

 

私   『 夏バテは直せないよ~ 』

 

乗務員 『 ちがうちがう。私じゃなくて、車のほう 』

 

私   『 あっ。。。すいません。。。車のチカラの事ね。。。』

 

乗務員 『 暑いから現場仕事は大変だよね~。』

 

っと、コントみたいに修理依頼がありました。

 

自動車のチカラ(出力)不足には、いろいろな原因があります。

それを基本から、ひとつひとつ地道に原因追究していきます。

ただ、タクシー営業車は皆様のマイカーより、はるかに過酷な状況で

 

50万キロ以上 走行します。

 

そして、このタクシー営業車も 51万キロ走行 しています。

早速、試運転=333

 

ギアを「D」に入れて、アクセルを踏み込んでみます。

 

むむむっ!

 

乗務員が言うようにチカラが出ません(汗)。

さらに踏み込んでみても、、、軽トラみたいな加速です。。。

 

そこで、タクシー整備士の経験と勘で、数十箇所の原因から5~6箇所まで

原因をしぼります。

※今の自動車は自己診断で不具合が起きた場合、自動車のコンピューターに

その時の症状、どこの部分の不具合、異常な数値、温度などを記憶しておく

機能が、平成7年頃から製造されている自動車全車に搭載されています。

っが、この機能も万全では無く、、、経年劣化による「ヘタリ」や「壊れる

寸前」は、コンピューターでは判断しきれません。

 

工場に戻り、基本の点検を開始します。

自動車のエンジンに必要な物が 3っつ あります。

 

・良い空気

・良い圧縮

・良い点火

 

良い空気をエンジンに送っている「エアークリーナー」を点検します。

新品と交換してまだ、2,000キロ程度で汚れもありません。

(通常 10万キロは使えます)

 

良い圧縮を確認するため工具を使って人力でエンジンの中のピストンを

動かしてみます。

少し軽い(圧縮が甘い感じ)ですが、圧縮しています。

 

良い火花を確認するために、スパークプラグと呼ばれる点火部品を点検します。

新品と交換してから、1万キロ程度で電極も良い状態です。

(通常 5万キロは使えます)

工具を使って点火タイミングを点検します。

規定値の範囲以内でタイミングの変化にも異常はありませんでした。

 

んんん~ (><;)

 

頭を悩ませます。。。

 

3大原因のうち、ひとつだけ良否がハッキリしない「圧縮」に絞って

整備していく判断をしました。

コレにも根拠があって、エンジンコンディショナーというエンジン内部に

たまった「カーボン」(爆発・燃焼によって出来る燃えカス)を洗浄する

薬品を使って洗浄すると、一時的に「チカラ」が復活したからです。

 

早速、エンジンを分解します。

 

 
完成

ココにも経験が活かされます。

なんてったって、分解しなくても良い所は分解しないように考えないと

組み上げる時に時間が掛かっちゃうからです(笑)。

決して手抜きではありません (^ ^)v

 

駒

 

コマッキーが汗ダラダラで分解しています!

この汗が、暑いからなのか? 私に『 そこは分解しなくても良い! 』

って怒られるプレッシャーからなのか?分かりませんが (^ ^)

 

 

シリンダーヘッドと呼ばれる吸気・排気・爆発させる燃焼室のフタと

シリンダーブロックと呼ばれるピストンが往復する筒を分解すると

 

原因を発見しました!

 

燃焼室

 

ブロック

 

山脈のように、カーボンがビッシリ!

このカーボンが原因で、スパークプラグが点火する前に燃えてしまったり

ハジけてバルブ機構(写真では丸いものが二つ並んでます)に挟まって

圧縮漏れを起こしたりします。

エンジンコンディショナーで洗浄すると一時的に復活してたのは、ハジけた

カーボンが取れたか、柔らかくなってつぶれたかですね。

 

さて、原因が分かった所で終わりではありません。

この、カーボン山脈を洗浄して落とし、再びエンジンを組み上げないと!

 

ヘッド面

 

まず、ガスケットと呼ばれるパッキンを綺麗に掃除します。

ココが一番キライです。

っじゃなかった(汗) 苦手です (><)>

このガスケットは堅いし、複雑だし、素手仕事になるので手は切っちゃうし

洗浄は灯油で洗うので指紋の間の汚れと匂いが1週間くらい取れないんです。

その後、バルブと呼ばれる吸気・排気弁を外すと!

 

バルブ清掃前

 

コッチにも山脈発見です!

ちょっとピンボケしてますが、密閉している辺り面にカーボンが挟まった

あとがあります。

ココも洗浄して、、、

 

バルブ清掃後

 

どうです? キレイになったでしょ v(^ ^)v

そして、辺り面を削って、修正して、しっかり密閉できるようにします。

 

バルブ タコ棒

 

辺り面にコンパウンド(液状のヤスリ)を付けて、たこ棒と呼ばれる吸盤が

付いた棒(正式名称は知りません(><)で、回しては叩きつけ、回しては

叩きつけ、、、

ココの部品はエンジンの中でも重要部品なので、相当硬い素材で出来ている

ので、普通にコスりつけても削れません。

1コ当たり30~40分かかります (><)」

コレを8コ繰り返します(泣)

皆様のマイカーだと、16バルブとか24バルブとかですね。

そして写真には撮っていませんが、全部組み立てた後に灯油を燃焼室に

ためて、密着部分から漏れが無いか点検します。

 

その後、元に戻すために分解した反対の手順で組み立てていきます!

 

駒 佐藤2

駒 佐藤

 

サトちゃんに指導を受けながらコマッキーが頑張っています (^ ^)

エンジン部分は、自動車の心臓部なのでネジを締める順番、締め付けるチカラ

が細かく決められています。

 

そして、組みあがり! エンジン始動です!!

心臓手術後なのでエンジンが動くか不安のなか、コマッキーがキーを

回します!

 

ブロロ~ン=333

 

なんの問題も無く動き始めました!

各部のオイル漏れや、冷却水漏れを点検した後、試運転してみます。

 

チカラ強いです!

 

そして乗務員に引き渡すと!

 

スゴイよ! V6エンジンみたいだよ!!ありがとう!!!

 

整備士冥利につきますね(嬉)

この言葉で手についた灯油の汚れや匂い、手のアチコチの切りキズの痛みも

吹っ飛びます (^ ^)V

 

コレを 『 オーバーホール 』 と言います。

ココでやっと、タイトルの オーバーオール ってボケが成立しました(^ ^)

 

川口自交では、車検・修理はモチロンですが、オーバーホールのような重整備も

得意としております。

ココがタクシー整備をやっている強みです。

 

川口市で車のことなら、お気軽にお問い合わせください。

 

株式会社 川口自動車交通 整備工場 民間車検場

電話番号 048-255-8325

住所 埼玉県川口市中青木5-14-17

 

 

 

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