挙式は10月31日の木曜日と決まった。
『ラ・セゾン』のオーナーが大乗り気で、快諾してくれた事もあり、話は、トントン拍子ですすんだ。
卓と里奈は招待状や当日のあれこれを、具体的に決める為、近くの喫茶店へと場所を移した。
最近、めっきり喫茶店が少なくなった。
ファミレスが、ここかしこに出来ているからであろう。
しかし、ここには、感じの良い店が
何軒もある。
木々がそよぐ中、まるで避暑地にでも来たような、錯覚さえ覚える洒落た店だ。
卓と里奈は、オープンテラスに出ているテーブルに陣取った。
「ここまで来たね」
「ええ、速く進んだと思います」
「みんな、里奈ちゃんのお陰だよ」
「そんな事、ないですョオ~」
「でも、この短い期間に、ホント、沢山の出来事があったなぁ~」
「ええ、でも何ひとつ、無駄な事は無かったように思います」
「確かに!」
「卓ちゃん!ヨロシクお願いします。」
「イャア~こちらこそ、ヨロシクお願いします」
卓は、人生の一番良き日を迎えていた。