「イヨゥ~!卓ちゃん!出て来たかあ!」
出社するや開口一番、松さんが駆寄って来た。
「松さん!ご心配お掛けしました」
「ホントだよ!心配したさあ!また、こうやって一緒の出番でさあ!良かった!良かった!」
「お~い!卓ちゃん!どうだ!調子は!?」
夢の中で、泣いていた堀さんの後から、しんちゃんが嬉しそうに近づいて来る。
「すみませんでした!長い間、休ませてもらいました」
「あまり無理すんなよ!」
堀さんが、卓の肩を叩きながら言った。
「卓ちゃん!田中さん、係長になったの知ってるだろ!」
「ええ、知ってます」
「うちらの班、もう3ヶ月も無事故、クレームゼロが続いててさあ、そりゃあもう!皆、頑張ってるわ!」
「ええ!そうなんですか!3ヶ月も!」
しんちゃんが、大きな声で答えた。
「そうなんだよ!」
しんちゃんは、行政書士の資格を持つ変り種ドライバーである。
ただ、声が大きすぎるのが、玉にキズの、しかし元気イッパイのドライバーだ。
「田中係長か!ちょっと、言い辛いっすね!」
「いやあ!慣れればさあ!大丈夫だよ!」
皆が笑った。
「ああ、イイなあ!」
卓は心の中で思う。
職場で皆が明るく語らう。
辛い時も、悲しい時も、皆、こうやって明るく語り合いながら、気分転換をするのだ。
「暖かい人達だ」
卓は心底、そう思う。