2週間が過ぎた。
実家での療養と、通院の甲斐あって経過は良好!
明後日からはハンドルを握ることが出来ると、医師からも了解を得ている。
復帰は間近である。
卓の胸は高鳴った。
田中主任からの連絡によると、出勤日の当日、永年勤続5年の表彰があるので、参加せよとのことである。
5年、10年、15年、20年・・・と就労上、他の模範となることが出来れば、社内表彰の対象になるのだ。
今年は18名が表彰されるが、その中の一人に選ばれたのである。
社内表彰は初めての事だ。
「頑張れば報われる」と言う言葉があるが、卓はまさしくその通りだと思う。
常に真摯に充実感を感じながら、仕事が出来るか否かは、職場に余程の問題がない限り、それは自分次第で
ある。
もう一つ、喜ばしい出来事があった。
尊敬してやまない田中主任が、係長に昇進したのである。
田中本人は何も言わなかったが、松さんからのメールで分かった。
早速、田中にお祝いのメールを入れると、返事が戻って来た。
「ありがとう!まだまだ経験値の低い自分を登用してくれた会社に感謝だ!これからも助けてくれよ!宜しくな!」
卓は、いつもグダグダ言わない田中が、人間的にも好きである。
勤勉実直だが、男気のある、そして厳しくも優しい先輩なのだ。
卓は今の職場に感謝した。
世間には、何かあると直ぐ嫌がらせをしたり、嫌味を吐く同僚、上司がいる。
しかし、今の職場で、イヤな思いをしたことがないのも、卓がドライバ-を継続出来る要因の一つである。
同じ苦労を共にする同僚たちの中で、卓はプロドライバ-としての自分を研鑽出来た事を、誇らしくさえ思うのだった。