クルマを走らせながら、卓はふと考えた。
「みんなが、大変な時なんだ・・・翔太君のおじいさん、これからどうなるんだろう・・・」
実家の母が、身体の弱った祖母の面倒を全て看ていることも、大変な事だとは分かっていたが、これからの事を考えると、母親の健康も心配になる。
しかし、母親は弱音を吐かない。
「おばあちゃんの面倒見るのって、私の生き甲斐なのよ!」
母はいつもそういっては、周りを安心させてきたが、きっとそれは自分への叱咤激励であるとも思える。
誰かが誰かの助けを必要とする世の中・・・それは当然の事であろうが、介護の果てに疲労困憊し、心が折れてしまうという事もありうる・・・もっと専門家の助けがあればなあ・・・とも思う。
「どうにか出来ないものか・・・」
卓はひとり溜息を付いた。