「お仕事中、すみません・・・」
夕方、卓が自販機の前でお茶を飲んでいると、メールが入った。
開いて見ると里奈からである。
「どうしたの?」
返信をすると、すぐメールが届いた。
「今度のお休み、いつですか・・・出来れば、私が育てた野菜を出してくれている、フレンチのお店があるんです・・・・・ご一緒出来ればと思いまして・・・」
「イイよ・・・僕から先に誘うつもりでいたんだけど、先を超されたね
^^;」
「ごめんなさい・・・せっかちかな!?」
「いいや・・・里奈ちゃんらしくて男前です!」
「ありがとうございます♪」
「楽しみにしています^^¥」
「時間や場所は後程、お知らせします」
「了解!☆」
卓は、削除せず、里奈との交信は全て保存するつもりである。
「二度と、同じ過ちは繰り返さない・・・女性には、特に真摯で誠実に!」
今度こそ、自分の成長を自覚できるような気がした。
「さて、もうひと踏ん張り!」
気を引き締め、エンジンを掛けた。
「77・・・応答願います」
無線室からである。
「77・・・光町の森山さまから、連絡入っています・・・」
オペレータの声で、はっと気が付いた。
「翔太の家だ・・・」
卓は早速、携帯を取り出し、翔太の家に電話を掛けた。
「もしもし・・・」
「アッ!おじちゃん!」
翔太の声が響いた。
「どうしたの・・・」
「今、お母さんに変わるね・・・」
暫くして、翔太の母親が受話器に出てきた。
「お忙しいところ・・・恐れ入ります」
「いえ、どうしました!?」
「父が、また居なくなりまして・・・」
「エッ!?」
「今日の朝、洗濯を干している間に居なくなったんです」
「警察には!?」
「届けました・・・何の連絡もないので、探したいのですが、タクシー回して頂けますか」
「わかりました!直ぐ向かいます」
卓のシートベルトを掛ける音が、否が応でも緊張感を、醸し出した。