家に戻った卓は、乾燥機から洗濯物を取り出しながら、昨日、今日の事を思い出してみた。
富山の決断、速攻力には驚かされる。
親友の妹が、結婚前提で付き合う対象になるとは考えても見なかった。
卓は里奈の中学生時代を知っている。
剣道部だった里奈が竹刀やら胴着を背負って、ニコニコしていた姿を鮮明に思い出した。
何事にも真摯に、しっかり向き合うことの出来る女性だと尊敬の念さえ抱いてきたが、その彼女が、自分の交際相手になるなど、嬉しさと、ささやかな困惑で、頬が紅潮して来るのがわかった。
「おっと、明日は出番だぞ・・・また、忙しくなるな」
いつまでも、喜んでばかりいられない。
明日の出番に向けて、気持ちを切り替える。
その時、卓の携帯からメール着信音が響いた。
「誰だろう・・・」
開いてみると富山からであった。
「こんことになるとは、想定外だったんじゃないか・・・正直言うと、俺は昔からお前が義弟になってくれればと思っていた・・・大学の頃かなあ・・・あの頃から、里奈はお前を慕っていた・・・けど、お前はお前で、まさか親友の妹と付き合うなんてことは、思ってもみなかったことだろう・・・だから、俺がしゃしゃり出るしかなかったんだよ・・・とにかく、メデタイ!それに嬉しいことだ・・・親父やお袋も、お前ならって、昔から話していたことがある・・・大切な妹だ!・・・けど、お前ならイインだよ・・・持ってけ!ドロボー!
^^¥」
卓は胸が熱くなった。
「イイ結論が出せるよう・・・真面目に付き合わせてもらう・・・ありがとう!」
卓は返信を送った。
寝床に入っても軽い興奮からか入眠できない・・・
「サア!困った!・・・」
卓は冷蔵庫から牛乳を取り出すと、レンジで温め少しハチミツを入れ、一さじのブランデーを垂らした。
こうすると、気持ちが落ち着き、よく眠れるのである。
「そうだ・・・明日、田中主任に早速、報告しよっ!イヤ、待てよ!まだやめておいた方が無難か・・・」あれやこれやと考えているうち、心地良い眠気に誘われた。
卓はそのまま、ベッドにもぐりこんだ。