卓は、それからの出番を毎回、粛々と、丁寧に、こなして行った。
日勤に回ったせいで、収入は少し減少しているものの、身体はすこぶるラクである。
このまま行けば、完全回復も時間の問題であろう。
そうなれば又、隔日勤務に戻れる。
健康に気配りしながら、真面目に働く・・・そして、充実感の中で、教訓を明確にし、次につなげること・・・
それこそが、自己管理であると卓は思う。
その日の出番も、目標とする回数をこなし、あと2時間もすれば終了するころとなった。
「今日も良く走ったなあ~」
我ながら、この頑張りは、どこから来るのであろうと考える。
多分、結婚を控えているということと、母親への仕送りを欠かさず続けたいと思う気持ちが、そうさせるのであろう・・・
母親からは「日勤になったんだから、仕送りはイイよ」と言われた。
しかし、そうはいかない。
卓は自分の生活を切りつめても、母親への仕送りは続けたいと思った。
「母さん、大丈夫だよ、心配しなくて!」
そうは言ったものの、確かに大変である。
しかし、定期的に富山や里奈から送られてくる、有機栽培の野菜や米のお蔭で、食費は殆ど掛からなくなった。
昼食も家で摂ることが多い。
外食ばかりでは、健康を損なう。
卓の料理の腕前はたいしたものだ。
送られて来る野菜をひとつ残らず、使い切る。
和えたり、煮込んだり、焼いたりと料理の楽しさも覚えた。
時間さえあれば、栄養学も学んでみたいと思うほどである。
「健康であること」卓は、つくづくその大切さを噛みしめていた。