卓の葬儀が、終わった。
卓の母親と里奈が抱き合い、慰め合っている姿が、なんとも痛ましい。
卓は途方に暮れていた。
帰るべき肉体は、すでに荼毘に付され消滅している。
家族の会話から分かった事は、突然の『脳内出血』で倒れ、事件の後、何度、携帯を鳴らしても、とらない卓を案じ、田中が管理人に頼み部屋に入ったということであった。
救急車で搬送されている時、既に卓の息はこと切れていたのである。
自宅に戻ると、ヘルパーの女性と家で待っていた祖母が、さめざめと泣いている姿が皆の涙を誘った。
「長生きしてごめんよ~卓の代わりに、私が行くべきなのに~」祖母の涙は乾くことがない。
「何言ってるの!卓は母さんが一日でも長生きすることを、望んでいたんだよ」
卓の父親が、涙を呑み込みながら、苦しそうに話すのを、卓は深い溜め息混じりで見つめていた。
Гどうすればイイんだ!・・・誰か教えてくれ!」
卓は自分の祭壇の前で、茫然自失としていた。