もう一度、床に入ると、無性に眠くなった。
温かいお湯を浴びたせいか、ぐっすり寝こんだようである。
午後を回り、1時近くに目が覚めた卓の身体にはまだ疲れが残っていたが、何故か体を動かしたかった。
遅い昼食をとると、そそくさと準備をし車に飛び乗った。
15分ほどで、隣り街に、もう5年も通っているスポーツジムがある。
インストラクター達とも顔馴染みだ。
着替えを済ませると、地下のプールへと向う。
簡単なストレッチをした後、入水し、静かに泳ぐ。
ターンをくり返すたび、泳ぎ方を変え、徐々にスピードを増して行く。
泳ぎは得意である。
水をかく時の、腕の回しに無駄がなく美しいポーズで、何度もターンする卓の泳ぎに周囲の皆が見とれていた。
泳いでいる時は、全てを忘れる事が出来る。
1キロも泳いだであろうか。
一休みするため、ジャグジーバスに身を沈めようとする卓に、「素晴らしい泳ぎっぷり!」「イイカラダしてますね~」と、回りから賞賛の声があがった。
「どうも!」照れながらジャグジーの泡に身を任せる卓の回りには、数人のお年寄りが集まって来た。
「イイカラダしてるわ」「ホントねえ~」
Гイケメンよねえ~」
母親程の女性達が、目を細める。
囲まれた状態の卓は、ジャグジーから出るに出られなくなっていた。